コラム
BIG3のバランス診断|ベンチ1に対しスクワット1.5・デッド2.0
BIG3を長く続けていると、3種目が同じペースで伸びないことに気づきます。どれかが必ず遅れます。
その遅れている種目を見つけるのは簡単です。3種目の比率を見ればいい。目安ではベンチ1 : スクワット1.5 : デッドリフト2.0になります。ベンチ100kgなら、スクワット150kg・デッドリフト200kgで釣り合う、ということです。
ここから外れている種目が弱点で、合計を伸ばすときに最初に手を付ける場所でもあります。体重別の目安(何kg挙げれば何レベルか)はBIG3の体重別早見表にあるので、この記事では3種目の関係だけを扱います。
目安の比率(ベンチを1としたとき)
| レベル | ベンチ | スクワット | デッドリフト |
|---|---|---|---|
| 未経験 | 1 | 1.50 | 2.00 |
| 初心者 | 1 | 1.67 | 2.00 |
| 中級者 | 1 | 1.50 | 2.00 |
| 上級者 | 1 | 1.60 | 2.00 |
| エリート | 1 | 1.67 | 2.00 |
レベルが上がってもこの比率はほとんど変わりません。デッドリフトはどのレベルでもベンチのちょうど2.0倍、スクワットは1.5〜1.7倍の幅に収まります。つまり比率は初心者でも上級者でも同じ物差しとして使えます。
※ 体重比(ベンチ×1.0/スクワット×1.5/デッドリフト×2.0=中級者)を種目間で割った値です。元の数字は体重別早見表と同じものを使っています。
ベンチが◯kgなら、あと2種目はいくらか
いちばん把握している人が多いベンチプレスを基準にした早見表です。自分のベンチの行を見て、実際の数字と比べてください。
| ベンチ | 釣り合うスクワット | 釣り合うデッドリフト | 合計 |
|---|---|---|---|
| 60kg | 90kg | 120kg | 270kg |
| 80kg | 120kg | 160kg | 360kg |
| 100kg | 150kg | 200kg | 450kg |
| 120kg | 180kg | 240kg | 540kg |
| 140kg | 210kg | 280kg | 630kg |
右端の合計が、その比率で揃ったときの数字です。合計が体重の何倍で何レベルかはBIG3合計◯kgはどのレベル?で引けます。
診断の手順(体重70kgの例)
比率で見るより確実なのは、3種目のレベルを別々に判定して並べる方法です。体重70kgで、ベンチ90kg・スクワット100kg・デッドリフト140kgの人を例にします。
| 種目 | 実重量 | 体重比 | レベル |
|---|---|---|---|
| ベンチプレス | 90kg | ×1.29 | 上級者 |
| スクワット | 100kg | ×1.43 | 初心者 |
| デッドリフト | 140kg | ×2.00 | 中級者 |
この人はベンチが上級者、デッドリフトが中級者、スクワットが初心者です。レベルがいちばん低い種目が弱点なので、手を付けるのはスクワットです。
比率でも同じ結論になります。ベンチ90kgに釣り合うのはスクワット135kg・デッドリフト180kg。実際は100kgと140kgでどちらも足りていませんが、離れ方が大きいのはスクワットです。
自分の体重で同じ判定をするなら適正重量チェッカーに3種目を入れるのが早いです。1回だけ挙がる重量が分からない場合は1RM換算ツールを先に通してください。
合計を伸ばすなら、凹んでいる種目から
弱点が分かったら、次は「どこから伸ばすか」です。答えは凹んでいる種目です。理由が2つあります。
1つめは伸びしろの差。得意種目は自己ベスト付近で止まりやすく、1kg増やすのに数ヶ月かかります。一方、放置していた種目はフォームを覚えるだけで10kg単位で動くことがあります。
2つめは合計への効き方。BIG3合計で見ると、いちばん重い重量を扱うデッドリフトが同じ割合の伸びでも上乗せが大きくなります。デッドリフトが凹んでいる人は、そこが最短の道です。
ただし例外があります。目的が競技ではなく見た目なら、比率を揃える必要はありません。次に書くとおり、私自身がその例です。
なぜその種目が凹むのか
- ▸ ベンチが凹む:潰れたときに人の補助が要るため、限界に触りにくい。停滞したら補助してもらえる環境を作るのが先
- ▸ スクワットが凹む:セーフティバーの高さを自分で合わせないと限界に挑めない。準備の手間を惜しむと頭打ちになる
- ▸ デッドリフトが凹む:腰への不安とグリップで止まる。ベルトとパワーグリップで解決する部分が大きい
どれも才能ではなく環境と準備の問題です。種目ごとの詳しい目安はスクワット◯kgはすごい?やデッドリフトの平均は何kg?にあります。
女性は比率が違う
同じ物差しを女性に当てると、ずれます。女性の目安から同じ計算をするとベンチ1 : スクワット1.8 : デッドリフト2.2。男性より下半身側の比率が高いのが特徴です。
上半身の筋量の差が大きく、下半身はそれほど差がないためです。女性がベンチだけ伸びないのは普通のことで、弱点ではありません。女性の体重別の目安は適正重量チェッカーで男女別に出せます。
筆者(筋トレ歴15年・フィジーク大会入賞)のバランスは崩れている
私の自己ベストはベンチ120kg・スクワット120kg・デッドリフト160kg。ベンチを1とすると1 : 1.00 : 1.33です。目安の1 : 1.5 : 2.0 と比べると、下半身が2種目とも足りていません。釣り合う数字はスクワット180kg・デッドリフト240kgなので、かなりの差です。
体重85kg前後での判定でも、ベンチは上級者、スクワットは初心者、デッドリフトは初心者です。これは失敗ではなく、フィジーク志向で上半身を優先した結果です。合計を伸ばしたいなら下半身に手を付けるべきだと分かっていて、それをしていない。目的が「合計」でないなら、比率が崩れていても問題ない——ただし崩れていることは自分で把握しておくべきです。それを知らずに「全体的に強い」と思い込むのが一番まずいです。
よくある質問
比率は必ず揃えるべきですか?
競技(パワーリフティング)なら合計で戦うので揃えるほど有利です。見た目が目的なら不要です。揃えるかどうかは目的次第、ただし現状把握は全員やるべきという順番になります。
体重が変わったら比率も変わりますか?
種目間の比率は体重に関係なく使えます(ベンチ1に対する倍率なので約分されます)。変わるのは体重比のほう(何レベルか)です。
スモウデッドやハーフスクワットで比べてもいいですか?
だめです。フォームで数字が変わる種目どうしを比べると、比率の意味がなくなります。パラレルのバックスクワット、床から引くコンベンショナルのデッドリフトで揃えてください。
凹んでいる種目は、週何回やればいいですか?
頻度を増やすよりその種目をメニューの先頭に置くほうが効きます。疲れる前にやる、というだけで扱える重量が変わります(筋トレの順番)。
まとめ
- ▸ 目安はベンチ1 : スクワット1.5 : デッドリフト2.0。レベルが変わっても比率はほぼ同じ
- ▸ 3種目のレベルを別々に判定して並べると、いちばん低いものが弱点
- ▸ 合計を伸ばすなら凹んでいる種目から。得意種目より動く量が大きい
- ▸ 凹む原因は才能ではなく環境と準備(補助・セーフティ・ベルトとグリップ)
- ▸ 女性は1 : 1.8 : 2.2。ベンチだけ伸びないのは普通
体重ごとの目標重量はBIG3の体重別早見表、合計からの逆引きはBIG3合計◯kgはどのレベル?にあります。
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この記事を書いた人
motsu
20代で体重90kg超の運動不足から一念発起。試行錯誤の末に大会入賞レベルまで体を変えた実体験をもとに発信しています。