コラム
懸垂が1回もできない人の練習法|段階の踏み方とかかる期間
最初に、これだけは知っておいてください。懸垂は、体重の100%を引く種目です。
体重70kgの人がぶら下がった時点で、70kgのラットプルダウンを引こうとしているのと同じことをしています。ジムでいきなり70kgのマシンに座る人はいませんよね。できないのが普通です。
なので、やることは「毎日バーにぶら下がって頑張る」ではありません。負荷を下げた種目から順に上げていくだけです。順番と、次に進む条件を先に出します。
懸垂1回までの5段階
| 段階 | 次に進む条件 | やり方 |
|---|---|---|
| 1. ぶら下がり | 30秒 | まず握力と肩が体重に耐えられるかを作る。肩をすくめない |
| 2. 斜め懸垂 | 10回×3セット | 低い鉄棒やテーブルの下で。体を倒すほど重くなる |
| 3. ネガティブ | 5秒×5回 | ジャンプで上まで行き、下ろすのに5秒かける。ここが一番効く |
| 4. バンド補助 | 5回×3セット | 太いゴムバンドを足にかけて軽くする。薄いバンドへ替えて負荷を戻す |
| 5. 懸垂 | 1回 | 反動なしで、あごがバーを越えれば1回 |
この中で一番効くのは3のネガティブです。上げる力がなくても、下ろす動きは上げる動きより強い力を出せます。ジャンプで上まで行って、5秒かけてゆっくり下ろす。これを繰り返すだけで、引くための筋肉に体重70kg分の刺激が入ります。
逆にやっても伸びないのが「1回もできない懸垂を毎日試すこと」です。ぶら下がって力むだけでは負荷が足りず、握力だけが疲れて終わります。
ジムがあるなら、ラットプルダウンで現在地が分かる
懸垂と同じ「上から引く」動きをマシンでやるのがラットプルダウンです。ここで扱える重量から、懸垂に届きそうかが逆算できます。目安は体重の80%を8〜10回です。
| 体重 | 懸垂で引く重さ | ラットプルダウンの目標(8〜10回) |
|---|---|---|
| 50kg | 50kg | 40kg |
| 60kg | 60kg | 48kg |
| 70kg | 70kg | 56kg |
| 80kg | 80kg | 64kg |
| 90kg | 90kg | 72kg |
※ 公的な基準ではなくサクトレの目安です。マシンの構造で体感は変わるので、絶対値ではなく「前回より上がっているか」を見てください。
どのくらいで1回できるようになるか
| 区間 | 期間の目安 |
|---|---|
| ぶら下がり30秒まで | 2〜3週間 |
| 斜め懸垂10回まで | 3〜4週間 |
| ネガティブ5回まで | 3〜4週間 |
| 懸垂1回まで | さらに3〜4週間 |
合計すると2〜3ヶ月です。週2回、背中を引く日を作れた場合の目安で、体重が重い人はもう少しかかります。1回できてからの伸びは速く、初心者3回・ 中級者10回が次の目印になります(懸垂は何回できれば普通?)。
体重を落とすのも「練習」のうち
懸垂には、他の種目にない特徴があります。体重が増えると、種目そのものが重くなることです。ベンチプレスは体重が増えても100kgは100kgですが、懸垂は体重がそのまま負荷になります。
つまり5kg減らせば、引く重さが5kg軽くなります。筋力を5kg分伸ばすより、脂肪を5kg落とすほうが速い人は珍しくありません。必要な収支は36,000kcal(体脂肪1kg=7,200kcal)で、1日300kcalの赤字なら約4ヶ月です。
ただし落とし方を間違えると逆効果です。食事制限だけで落とすと筋肉も減り、引く力まで落ちます(食事制限だけでリバウンドする理由)。落とすペースの目安は体脂肪率の記事にまとめています。
女性の場合
女性は上半身を引く力で男性と最も差が出ます。サクトレの目安でも、女性は初心者0回・中級者3回としています。0回が普通の位置だということです。
なので女性の場合は、いきなり懸垂1回を目標にしなくて構いません。斜め懸垂10回を目標にして、そこで止めても背中は十分に育ちます。そのうえで挑戦したくなったら、上の段階表の3(ネガティブ)から入ってください。
筆者(筋トレ歴15年)の場合
私は体重90kg超から始めたので、当時は懸垂が1回もできませんでした。90kgを引く種目だったのだから当然です。
正直に書くと、できるようになった一番の要因は背中が強くなったことと、体重が78kgまで落ちたことの両方でした。12kg減るというのは、懸垂で言えば12kgの重りを外したのと同じです。「できないのは根性が足りないからだ」と思っていた時期がありましたが、実際には引く重さの問題でした。
よくある質問
毎日やってもいいですか?
背中は大きい筋肉なので、中2〜3日あけてください。ぶら下がり(1の段階)だけは毎日でも構いません。回復の目安は筋肉痛の記事の部位別の表を見てください。
順手と逆手、どちらが簡単ですか?
逆手(手のひらが自分側)のほうが簡単です。二頭筋が強く参加するためで、1回目を達成する目的なら逆手から入って問題ありません。背中に効かせたいなら順手です。
斜め懸垂はどこでやればいいですか?
公園の低い鉄棒か、ジムのスミスマシンのバーを腰の高さに設定して行います。自宅なら丈夫なテーブルの下に潜って端を握る方法もあります。体を倒すほど重くなるので、角度で負荷を調整してください。
握力が先に限界になります。
その場合はパワーグリップを使ってください。背中を追い込む前に手が離れるのは、よくある足止めです。ネガティブの段階から使って構いません。
自宅にバーがない場合は?
ドア枠に取り付けるタイプの懸垂バーがありますが、枠の強度によっては危険です。設置に不安があるなら、斜め懸垂とダンベルのロウで代用できます(ダンベルは何kgを買えばいい?)。
まとめ
- ▸ 懸垂は体重の100%を引く種目。1回もできないのは普通の位置
- ▸ 練習はぶら下がり →斜め懸垂 →ネガティブ→バンド補助の順。条件を満たしたら次へ
- ▸ ジムがあるならラットプルダウンで体重の80%を8〜10回が目印(体重70kgなら56kg)
- ▸ 週2回で2〜3ヶ月が目安。1回できてからの伸びは速い
- ▸ 体重を落とすのも練習のうち。5kg減れば引く重さも5kg減る
背中を引く日をどう組むかは分割法の早見表に、背中を鍛える意味は背中を鍛えるべき3つの理由にまとめています。
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この記事を書いた人
motsu
20代で体重90kg超の運動不足から一念発起。試行錯誤の末に大会入賞レベルまで体を変えた実体験をもとに発信しています。