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コラム

腕立て伏せ・懸垂は何回できれば普通?レベル別の回数目安一覧

「腕立て伏せは何回できれば普通なのか」「懸垂10回はすごいのか」。器具を使わないトレーニングは重量という物差しがないぶん、自分の位置が分かりにくくなります。

先に2つ書いておきます。ひとつめ、回数の「全国平均」と言える信頼できる統計はありません。バーベル種目と同じで、ネットの数字はほとんど出典がありません。ふたつめ、自重種目の回数はフォーム次第で倍以上変わります。肘を伸ばしきらない腕立てと、胸を床すれすれまで下ろす腕立てでは、同じ「1回」がまったく違う運動です。

なので、この記事では先に条件を固定します。そのうえでレベル別の回数目安と、その1回で実際に何kgを挙げているのかまでを出します。

数える条件

腕立て伏せ

  • つま先立ちで、頭からかかとまで一直線
  • 胸が拳ひとつ分の高さまで下りる
  • 肘を伸ばしきって1回
  • 途中で静止せず、連続で

懸垂

  • 順手(手の甲が自分側)で肩幅より少し広め
  • 肘を伸ばしきった状態から始める
  • アゴがバーを越える
  • 反動をつけて蹴り上げない

この条件で数えると、多くの人は自己申告より回数が減ります。それが本当の位置です。

腕立て伏せの回数目安(男性)

上の条件で、連続して何回できるかの目安です。

レベル連続でできる回数その位置の意味
未経験5回まずは膝つきで15回を目指す段階
初心者15回3セット組めるようになるのがこのあたり
中級者30回回数より負荷を上げる段階に入る
上級者50回胸より先に体幹が保たなくなってくる
エリート70回持久力の領域。筋肥大とは別の能力

覚えやすい基準は「30回が中級者」です。ただしこの表でいちばん伝えたいのは上のほうではなく、中級者から先は回数を増やしても意味が薄くなるということ。理由は後半の「何kgを挙げているのか」で説明します。

腕立て伏せの回数目安(女性)

女性は上半身の筋量の付き方が違うので、別の表で見ます。

レベル連続でできる回数その位置の意味
初心者3回膝つきで15回できたら挑戦する段階
中級者10回続けている女性でもここが一つの壁
上級者20回男性の初心者を超える水準

つま先で3回できれば、もう初心者の枠です。できないうちは膝つきで構いません。膝つきの負荷は標準の半分強(体重の約49%)なので、まずは膝つきで15回できるようになってから、つま先に移るのが現実的な順番です。

「腕が太くなるのが心配」で回数を抑えている人は女性が筋トレしても太くならない理由を先に読んでみてください。

懸垂の回数目安(男女)

懸垂は腕立てと違い、0回から始まる種目です。表の一番上に「0回」を置いているのは、そこが多数派だからです。

レベル連続でできる回数その位置の意味
未経験0回1回もできない。ここから始める人が多数派
初心者3回反動なしで3回できれば入口を通過
中級者10回背中を引く力がついてきた証拠
上級者15回加重(ディップスベルト)を検討する段階
エリート20回体重が軽いほど有利なので体格差も出る

女性の場合

レベル連続でできる回数その位置の意味
初心者0回斜め懸垂10回から始めるのが現実的
中級者3回反動なしで3回できれば十分に強い
上級者8回男性の中級者に近い水準

男性の中級者が10回、女性の上級者が8回。懸垂はBIG3のベンチプレスほど男女差が開かない種目です。背中と腕で引く動作は、女性でも出力が出ます。

1回もできない人へ。これは筋力の問題であると同時に、体重をそのまま持ち上げる種目だからです。次で数字にします。

その1回で、実は何kgを挙げているのか

自重種目の弱点は負荷が見えないことですが、腕立て伏せは手にかかる荷重が計測されています。体重70kgの人で換算するとこうなります。

種目体重に対する負荷体重70kgなら
膝つき腕立て約49%約34kg
インクライン
手を台に
約55%約39kg
標準の腕立て約64%約45kg
デクライン
足を台に
約70〜75%約49〜53kg
懸垂約100%約70kg

※ 台の高さや手幅で変わるので目安です。腕立ての詳しい種類別の解説は自宅でできる胸トレにあります。

ここが、この記事でいちばん見てほしいところです。体重70kgの人にとって、

  • 標準の腕立て伏せ=約45kgのベンチプレスに近い負荷
  • 懸垂1回=70kgを引き上げている

懸垂が1回もできないのは当たり前なんです。いきなり70kgのラットプルダウンをやれと言われているのと同じなので。腕立てから始めた人が懸垂で挫折するのは、筋力が足りないというより、負荷が一気に1.5倍以上に跳ね上がるからです。

回数を増やしても、負荷は1gも増えない

自重種目の一番の落とし穴がこれです。腕立てが20回から40回に伸びても、かかる重さは約45kgのまま。筋肉を大きくする刺激としては、同じところで足踏みしています。

筋肉が増えるのは負荷が上がったときです。回数が増えたのは、その重さに慣れた(=持久力がついた)ということで、別の能力が伸びています。どちらも価値はありますが、目的が筋肥大なら、回数ではなく負荷を上げるほうへ進んでください。

進め方の順番はこうなります。

腕立て:膝つき(約49%)→ インクライン(約55%)→ 標準(約64%)→ デクライン(約70〜75%)。20回を超えたら次の段へ

懸垂:斜め懸垂 → ジャンプして下ろすだけ(ネガティブ)→ 通常の懸垂 → 加重。1回もできない段階を飛ばさないのがコツです。各段階の目標と次に進む条件は懸垂が1回もできない人の練習法にまとめました。

そして自重には上限があります。体重70kgの人がデクラインまで進んでも負荷は約49〜53kgどまり。ベンチプレスで中級者と呼ばれるのは体重×1.070kgなので、腕立てだけで届く範囲には限りがあるということになります。器具を足すタイミングは、ここで決まります。最初に買うダンベルの重さはダンベルは何kgを買えばいい?に種目別で出しました。

重量で見た自分の位置はBIG3の重量目安一覧ベンチプレスの平均で確認できます。

体重が変わると、懸垂の回数も変わる

懸垂の負荷は体重そのものなので、体重が5kg減れば、負荷も5kg軽くなります。減量中に懸垂の回数が増えるのは、背中が強くなったからとは限りません。

逆も同じです。増量して体重が増えると懸垂の回数は落ちます。これは弱くなったのではなく、種目のほうが重くなっただけです。体重が動いている時期は、懸垂の回数を「強さの指標」にしないほうがいいということになります。

体重で評価が変わるのはバーベル種目も同じで、だからBIG3の目安も体重比で作られています。この考え方を全種目に広げると、自分の現在地を見誤らなくなります。

高回数は「1RM換算」しないでください

挙げた重量と回数から最大筋力を推定する1RM換算という計算がありますが、腕立て30回のような高回数には使えません

換算式(1RM = 重量 ×(1 + 回数 ÷ 30))は回数が増えるほど誤差が大きくなり、実務的には6回以下で使うものだからです。30回を入れると重量が2倍という非現実的な答えが出ます。高回数は筋持久力の指標で、最大筋力とは別の能力——そう割り切って、別々に記録してください。

よくある質問

腕立て30回できればすごいですか?

条件を守って連続30回なら中級者の水準です。ただし「すごい」かどうかより、30回できる時点で負荷が軽すぎるほうが重要です。デクラインに移るか、器具を足す段階に来ています。

腕立ては毎日やっていいですか?

回数が少ないうち(10回程度)なら毎日でも回復が追いつきます。ただし限界まで追い込むようになったら、中1〜2日あけたほうが伸びます。休息の重要性に詳しく書きました。

懸垂が1回もできません。何から始めればいいですか?

斜め懸垂(足を床につけたまま、低いバーを引く)からです。角度を立てるほど軽くなるので、10回できる角度から始めてください。次はジャンプで上がって、下りるときだけゆっくり耐える(ネガティブ)練習。この順番なら、ぶら下がれる場所さえあれば進めます。

腕立てだけで胸は大きくなりますか?

ある程度までは大きくなります。ただし前述のとおり負荷の上限が体重で決まるので、どこかで必ず止まります。止まった時点で回数を増やしても、そこから先はあまり変わりません。

効果が出るまでどれくらいかかりますか?

最初の1ヶ月で伸びるのは回数(=神経の慣れ)で、見た目が動き出すのは3ヶ月目からです。詳しくは筋トレの効果はいつから出る?にまとめています。

まとめ

  • ▸ 出典のある「平均回数」は存在しない。フォームの条件を揃えてから表と比べる。
  • ▸ 目安は腕立て30回で中級者、懸垂10回で中級者。懸垂は0回から始まる種目で、それが多数派。
  • ▸ 体重70kgなら腕立ては約45kg、懸垂は70kgを挙げている。懸垂ができないのは当たり前。
  • 回数が増えても負荷は増えない。20回を超えたら、次の段(インクライン→標準→デクライン→加重)へ。
  • ▸ 高回数は筋持久力。1RMに換算しない。最大筋力とは別に記録する。

背中を鍛える意味は背中を鍛えるべき3つの理由に、自宅での胸トレの進め方は自宅でできる胸トレ完全ガイドにあります。

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この記事を書いた人

motsu

筋トレ歴15年フィジーク大会入賞90kg→78kg(−12kg)

20代で体重90kg超の運動不足から一念発起。試行錯誤の末に大会入賞レベルまで体を変えた実体験をもとに発信しています。