コラム
筋肉痛でも筋トレしていい?判断の基準と部位別の回復時間
結論から書きます。痛む部位はやらない。それ以外の部位はやっていい。これだけです。
「筋肉痛だから今日は休もう」と考える人が多いのですが、それだと胸が痛いだけで脚も背中も休むことになります。休ませるのは部位であって、あなた自身ではありません。
とはいえ「痛い」にも種類があります。やっていい痛みと、やってはいけない痛みを先に表で分けます。
痛み方別・今日やっていいかの判断表
| いまの状態 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 動かすとじんわり痛い | 別の部位をやる | 痛む部位だけ外せばトレーニング自体は休まなくていい |
| 軽く動かすと楽になる | 軽い重量ならやってよい | 血流が戻ると痛みは薄れる。ただし記録更新は狙わない |
| 押すと強く痛む・力が入らない | その部位は休む | 回復が終わっていない。重量が落ちて練習の質も下がる |
| 関節が痛い・鋭い痛み・しびれ | 中止する | 筋肉痛ではない。続けると怪我になる |
| 4日以上ずっと痛い | 強度を下げて仕切り直す | そのボリュームが今の回復力に合っていない |
迷ったときの基準はひとつです。前回と同じ重量で、同じ回数が挙がるかどうか。やってみて明らかに回数が落ちるなら、それは気のせいではなく回復が終わっていない客観的なサインです。判断の材料は休息の記事にセルフチェック表としてまとめてあります。
筋肉痛はいつピークが来て、いつ消えるのか
筋トレのあとに出る痛みは、正式には遅発性筋痛と呼ばれます。名前のとおり、運動した直後ではなく時間が経ってから出るのが特徴です。「翌日より翌々日のほうが痛い」のはこのためで、異常ではありません。
| 経過 | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 直後〜6時間 | まだほとんど痛くない | タンパク質と水分をとる |
| 6〜24時間 | 動かすと痛みが出始める | 軽く歩く・湯船で温める |
| 24〜48時間 | ピーク。押すと痛い | その部位は休ませ、別の部位をやる |
| 48〜72時間 | 引いてくる | 痛みが抜けた部位から再開 |
| 72時間以降 | 通常はほぼ消える | 残るなら強度が高すぎたサイン |
目安として、72時間(3日)を過ぎても痛みが引かないなら、その日のボリュームが今の回復力に対して多すぎます。種目を減らすか、セット数を落としてください。根性の問題ではなく、量の設定の問題です。
ちなみに「乳酸がたまって痛い」という説明を見かけますが、乳酸は運動後すぐに減っていきます。数日後にピークが来る痛みの説明にはなりません。
筋肉痛=成長のサイン、ではない
いちばん誤解されているのがここです。筋肉痛の強さと、筋肉の増え方は比例しません。
筋肉痛が強く出るのは、慣れていない動きをしたときです。久しぶりの種目、初めてのフォーム、下ろす動作をゆっくりやったとき。つまり「新しさ」に反応しているのであって、効いた量を表しているわけではありません。同じメニューを続ければ筋肉痛は出にくくなりますが、そのとき筋肉が伸びなくなっているわけではないですよね。
伸びているかどうかを見る指標は、痛みではなく扱える重量と回数です。体が変わる順番と時間の感覚は筋トレの効果はいつから出る?にまとめました。
逆に、筋肉痛を出しにいくトレーニングには意味がありません。痛くすることは簡単で、慣れない種目を全力でやれば誰でもできます。ただしその代償として次の2〜3日、その部位が使えなくなります。
部位別の回復時間の目安
痛む部位を避けて別の部位をやるには、どの部位が何日で戻るのかを知っておくと組みやすくなります。
| 部位 | 回復の目安 | 次に鍛えるまで |
|---|---|---|
| 胸・背中・脚(大きい筋肉) | 48〜72時間 | 中2〜3日 |
| 肩・腕(小さい筋肉) | 約48時間 | 中1〜2日 |
| 腹筋・ふくらはぎ | 約24時間 | 毎日でも可 |
ここで注意したいのが肩と腕です。胸の日には三頭筋と肩の前側が、背中の日には二頭筋が一緒に働いています。腕が筋肉痛のときに胸や背中をやると、腕が先に限界を迎えて本命の部位に効かないということが起きます。
この「重なり」を前提に曜日を組んだものが分割法です。週の回数別の組み方は分割法の早見表に、回数そのものの決め方は週に何回筋トレすればいい?にあります。
早く治すために、効くこと・効かないこと
| やること | 効果 | 補足 |
|---|---|---|
| 睡眠を7時間以上とる | ◎ | 回復の土台。削ると何をしても戻らない |
| タンパク質をとる | ◎ | 材料がなければ修復が進まない |
| 軽く歩く・軽い重量で動かす | ○ | 血流が増えて痛みが引きやすい |
| 入浴で温める | ○ | 動かしやすくなる。回復そのものを速める効果は限定的 |
| 運動後の静的ストレッチ | △ | 筋肉痛の予防効果は確認されていない |
| 痛み止めで消す | × | 痛みは消えても回復は進まない。判断材料まで消える |
上の2つが圧倒的です。睡眠とタンパク質以外は、どれも「痛みを感じにくくする」工夫であって、修復そのものを速めるものではありません。それぞれの詳細は筋トレと睡眠の関係と必要なタンパク質の量に書いています。
なお、運動後の静的ストレッチで筋肉痛を予防できるという説は、調べると裏づけが弱い部類に入ります。だからといって無駄ではなく、狙いが「予防」ではなく「柔軟性と可動域」なだけです(ストレッチの効果とやり方)。
筆者(筋トレ歴15年・40代)の場合
私はいまも週5回トレーニングしていて、完全休養は週2日だけです。ではいつも筋肉痛を無視して突っ込んでいるのかというと、逆です。部位を分けているので、痛い部位に当たる日がそもそも来ません。胸が痛い日は脚、脚が痛い日は背中、という具合に回しているだけです。
15年やってきて、筋肉痛が強かった週にいちばん伸びた、という記憶はありません。伸びたのは、同じ種目を同じフォームで淡々と続けて、少しずつ重量が上がっていった時期のほうでした。40代になってからは回復が遅くなった実感があるので、痛みが3日引かないメニューは組まないようにしています(40代からの筋トレ入門)。
よくある質問
筋肉痛が来ません。効いていないということですか?
いいえ。慣れた種目では出にくくなるのが普通です。重量か回数が前回より伸びているなら、効いています。逆に数ヶ月ずっと同じ重量なら、痛みの有無に関係なく刺激が足りていません。
筋肉痛のまま同じ部位をやったらどうなりますか?
重量が落ちます。その日のトレーニングの質が下がるだけでなく、回復が終わっていない筋肉に次のダメージを重ねることになるので、痛みが長引きます。得られるものより失うもののほうが多い選択です。
筋肉痛のときに有酸素運動はしていいですか?
痛む部位を強く使わないものなら問題ありません。むしろ軽い歩行は血流が増えて楽になります。ただし脚が筋肉痛のときのランニングは、脚のトレーニングの続きになってしまうので避けてください。
始めたばかりで全身が痛いです。休むべきですか?
最初の数週間は全身に強く出ますが、これは一時的なものです。痛みが引くまで休み、次の回は種目数を減らして再開してください。初回に頑張りすぎて2週間空くより、8割の強度で週2回続けるほうが結果的に速く進みます(初心者が最初にやるべき5つのこと)。
プロテインを飲めば筋肉痛は軽くなりますか?
痛みが消えるわけではありませんが、材料が足りていない状態よりは回復が進みます。体重1kgあたり1.6〜2.2gを目安に、1日を通して足りているかを見てください。
まとめ
- ▸ 痛む部位はやらない、別の部位はやっていい。休ませるのは部位であって自分ではない
- ▸ ピークは24〜48時間後。3日を過ぎても痛いならボリュームが多すぎる
- ▸ 筋肉痛の強さは成長の量ではない。見る指標は重量と回数
- ▸ 関節の痛み・鋭い痛み・しびれは筋肉痛ではない。その日は中止
- ▸ 早く戻すために効くのは睡眠とタンパク質。残りは痛みを感じにくくする工夫
サクトレのメニュー作成は、直近でどの部位をやったかの履歴をもとに、回復が間に合っていない部位を避けたメニューを提案します。痛い部位を自分で避けて種目を組み直すのが面倒な日にどうぞ。
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この記事を書いた人
motsu
20代で体重90kg超の運動不足から一念発起。試行錯誤の末に大会入賞レベルまで体を変えた実体験をもとに発信しています。