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コラム

デッドリフトで握力が足りない・持たないときの対処|握り方3種類とパワーグリップ

デッドリフトは、背中や脚より先に握力が限界になりやすい種目です。BIG3でいちばん重いバーを扱うのに、その重さを支えているのは指だけだからです。背中はまだ引けるのに、手が先に開いてバーが落ちる。この状態のまま続けると、鍛えたい背中に重さが届く前にセットが終わってしまいます。

対処の順番はシンプルです。まず本当に握力で止まっているかを確かめる。止まっているなら、お金のかからない工夫から試し、それでも足りなければ握り方を変えるか道具を使う。以下、この順に説明します。

※ この記事の「ストラップ類」は、パワーグリップやリストストラップのように、手首に着けてバーに引っかけ、握りを補う道具のことです。

握力で止まっているかの見分け方

こうなったら止まっている原因
手が開いたとき、背中やもも裏にはまだ余裕がある握力で止まっている
ストラップ類を使うと、同じ重量で回数が増える握力で止まっている
手は離れないのに、床から浮かない・背中が丸まる握力ではなく、背中や脚の力で止まっている
セットの後、前腕より背中やもも裏がきつい握力ではなく、背中や脚の力で止まっている

いちばん確かなのは2番目の見分け方です。同じ重量で、まず素手で1セット、十分に休んでからストラップ類を使って1セット引き、回数を比べます。後から引くほうが疲れているぶん不利です。それでもストラップ類のほうが回数が増えるなら、背中と脚にはまだ余力があり、手が先に音を上げています。

どちらのセットも、背中が丸まり始めたらそこで止めてください。回数を比べるために粘る必要はありません。ストラップ類を持っていないなら、1番目と4番目(手が開いたときやセットの後に、背中やもも裏にまだ余裕があるか)で判断できます。

逆に、手は離れないのにバーが浮かない・背中が丸まる場合は、握力の問題ではありません。道具を足しても解決しないので、重量を落としてフォームを見直してください。背中が丸まる重量に手を出さないことは、デッドリフトの平均は何kg?の「腰を壊さないための優先順位」に書いています。

道具を買う前にできること

  • ▸ 親指まで巻き付けて握る:親指をバーの反対側に回さず、ほかの指と並べて添えているだけだと、手が開きやすくなります
  • ▸ 握る位置を手のひらの真ん中から指の付け根寄りに:手のひらの真ん中で握ると、引いた瞬間にバーが指のほうへずれて、握りが浅くなります
  • ▸ 手のひらを乾かす:汗で滑るならチョーク(滑り止めの粉)が効きます。使えるかどうかはジムによって違うので、先に確認してください

チョークは、国際パワーリフティング連盟(IPF)のルールでも手に付けることが認められています。国内の大会に出るなら、その大会の規則も確認してください。

握り方3種類とパワーグリップの向き不向き

握り方強み弱点大会※
順手(ダブルオーバーハンド)両手とも手の甲を前に向けて握る左右がそろう。フォームを覚える段階はこれ重くなると、ほかの握り方より先に手が開く使える
オルタネイトグリップ(ミックスグリップ)片手を順手、片手を逆手にして握るバーが手の中で転がりにくく、高重量を持ちやすい左右で手の向きが違うぶん、体がねじれやすい。逆手側の上腕二頭筋(力こぶの筋肉)を痛めた例が報告されている使える
フックグリップ親指を先にバーに巻き付け、その親指の上から人差し指と中指で押さえ込む順手のまま、左右をそろえて高重量を持てる親指が痛く、慣れるまで時間がかかる。手が小さいと指1本しか掛からないこともある使える
ストラップ類(パワーグリップなど)手首に着けた道具をバーに引っかけて握りを補う握力をほぼ気にせず、背中と脚の力を使い切れる素手の握力は鍛えにくい使えない

※ パワーリフティングの大会での扱いです。ストロングマンのデッドリフトなど、ストラップ類を使える競技もあります。

始めたばかりのうちは順手で十分です。左右がそろうので、フォームを覚えるのに向いています。手が開き始めたら、目的に合わせて選びます。

  • ▸ 背中を鍛えるのが目的なら、パワーグリップ。握力を気にせず背中に集中できるので、いちばん手っ取り早い

筆者が背中のトレーニングで使っているパワーグリップです。

愛用背中トレに必須

ALLOUT パワーグリップ PRO

背中のトレーニングで握力が先に限界を迎える問題を解決してくれる。1年以上使い続けても壊れない耐久性が◎。ラットプルダウン・デッドリフトに必須。

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ほかの候補はおすすめギアのページにまとめています。※ Amazonアソシエイトのリンクを含みます。

  • ▸ パワーリフティングの大会に出る予定があるなら、オルタネイトかフック。大会ではストラップ類が使えないので、素手で高重量を持つ練習が要る

オルタネイトとフックで迷ったときは、左右差や上腕二頭筋への負担を避けたいならフックです。ただし親指の痛みに慣れるまで時間がかかるので、大会が近いならオルタネイトにして、次の注意を徹底してください。

オルタネイトを使うなら、逆手側の肘は伸ばしたまま引いてください(腕で引き上げない)。逆手にする側はセットごとに入れ替え、片側に偏らせないようにします。

パワーグリップを使った記録はどう扱うか

自分の現在地を知るためなら、ストラップ類を使った記録で構いません。ただし伸びを比べる記録は「使う」か「使わない」のどちらかに固定してください。レベル判定との関係はデッドリフト◯kgはすごい?に書いています。パワーリフティングの大会に出るなら、比べる記録は素手にそろえてください。

握力そのものを鍛えたいなら

道具に頼りきると、素手の握力は伸びにくくなります。気になるなら、背中の日に1〜2セットだけ素手で引くのが現実的です。重いメインのセットはパワーグリップで背中を追い込み、軽めのセットは素手で握る。これで背中と握力の両方に刺激が入ります。素手の軽めのセットは、伸びを比べる記録とは分けてメモしておけば十分です。

バーにぶら下がる練習も、握力を鍛えるのに向いています。懸垂の練習の最初のステップがちょうどこれで、進め方は懸垂が1回もできない人の練習法にあります。

筆者(筋トレ歴15年・フィジーク大会入賞)の場合

私はALLOUTのパワーグリップを使っています。背中のトレーニングで、握力が先に限界になる問題をこれで片付けました。フィジークはデッドリフトの重さを競う競技ではないので、私にとって大事なのは素手で持てる重量より、背中に重さを届けることでした。

パワーリフティングの大会に出る人は、本番ではストラップ類が使えないので、素手で高重量を持つ練習が欠かせません。目的が「背中を育てる」なのか「素手で記録を出す」なのかで、正解の握り方は変わります。自分がどちらなのかを先に決めてください。

よくある質問

パワーグリップを使うのはずるいですか?

ずるくありません。背中を鍛えるための道具です。ストラップ類を使った数字の扱いは、デッドリフトの平均は何kg?でも触れています。

パワーグリップとリストストラップは何が違いますか?

どちらも握りを補う道具ですが、パワーグリップはバーへの掛け外しが速く、リストストラップは巻くのに手間がかかるぶん、しっかり固定できる傾向があります。1回の練習で何種目も使うなら、パワーグリップのほうが手軽です。

ラットプルダウンや懸垂でも使っていいですか?

使えます。ラットプルダウンや懸垂のような引く種目は、どれも背中より先に握力が限界になりやすいからです。背中を鍛えるべき理由と種目は背中を鍛えるべき3つの理由にあります。

手のひらにマメができて痛いです。

手のひらの真ん中でバーを握ると、引いた瞬間にバーが指のほうへずれて皮が寄り、マメができやすくなります。最初から指の付け根あたり(手のひらとの境目のすぐ指先側)にバーを引っかけて握ると、皮が寄りにくくなります。痛みが強いときや皮がめくれたときは、治るまで素手のセットは休んでください。

まとめ

  • ▸ 握力で止まっているかは、ストラップ類あり・なしの回数を比べると分かる。背中が丸まり始めたらそこで止める
  • ▸ 手は離れないのに浮かない・背中が丸まるなら、握力ではなくフォームと力の問題
  • ▸ まずは親指まで巻く・握る位置・チョーク。お金のかからない工夫から
  • ▸ 背中を鍛えるならパワーグリップ、パワーリフティングの大会に出るならオルタネイトかフック
  • ▸ ストラップ類を使った記録でも現在地は分かる。ただし比べる記録は、使う・使わないのどちらかに固定する

ベルトを使い始める目安はトレーニングベルトはいつから必要?にまとめています。

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この記事を書いた人

motsu

筋トレ歴15年フィジーク大会入賞90kg→78kg(−12kg)

20代で体重90kg超の運動不足から一念発起。試行錯誤の末に大会入賞レベルまで体を変えた実体験をもとに発信しています。